株主価値の簡易算定: ろくすけ氏法のエクセルファイル
妥当な株価を簡単に計算したいですよね?
山口揚平氏の著書「本当の株のしくみ」によると、個人投資家には以下の5つの段階があるそうです。
- とりあえず株を始める
- 誰でも知っている国際優良銘柄を株価チャートを見て売買する
- 書籍や雑誌の推奨銘柄を好んで買う
- PER, PBRなどの一般的な指標を重視して株を買う
- 精緻な価値計算手法を学び、会社の本質価値に基づいて投資を行う
私は約25年前に第一段階を突破したものの、依然として第三段階にいる成長のない個人投資家です。特に第5段階となると、財務数字を拾ってきて企業価値の計算しなければいけない。面倒で自分で手を付ける気は起きませんでした。
しかし、第5段階になると「得られる投資収益のケタが変わ」るそうです。
株主価値を簡単に算定できます

人生の後半に備えるために、もっと株式投資に向き合おう。中でも長期個別株投資に取り組もうと何冊かの本を読んでいく中で、ろくすけ氏の著書「10倍株の思考法」に出会いました。
長期投資のための企業分析を概説している本なのですが、その中に簡単化した株主価値の計算方法が紹介されています。試算例を以下のリンク先のエクセルに表現しました。
簡易企業価値計算_ろくすけ氏法(xlsx)
簡易企業価値計算_ろくすけ氏法(Google スプレッドシート)
このエクセルでは書籍と同様にアバントGを用いて、簡易に株主価値を計算しています。さらに参考までに味の素社についても計算しました。
実際に株主価値を計算したい企業について、そのIRサイトなどから財務数値等を入手し、書籍とこのエクセルを参考に、株主価値の計算ができます。
フルのDCF法実務を経験してから活用したい
ただし、実際にこの簡易法で株主価値を見積もるときの課題として、以下があげれるかと思います。
- 企業ごとに違う将来計画の開示の仕方に合わせて、適切に5年目の営業利益を見積もれるか
- 企業ごとの事業環境を踏まえて、期待収益率・永久成長率を適当に設定できるか
私は以前に事業会社でM&Aに携わっていました。ファイナンシャル・アドバイザーという外部の専門家に任せてしまうことがほとんどだったものの、簡便法でないフルの企業価値評価について少し経験があります。(その経験を自分の株式投資活動に活かそうと思ったことはなかったですが。個人の株式投資は趣味で会って面倒なことはしたくなかったんですね。)
企業価値評価に用いるDCF法について一通りの経験があると、本書に示された簡便法も理解が深まります。種々の数値設定も、どこからもってくるか、どのくらいにするのか悩みが減るような気もしました。
簡易算定は便利だけど、使いこなすためには、一段階詳細な内容を理解した方が良い。要するに近道はないという救いのないコメントになってしまったかもしれません。
本書はその薄さのわりに中身は記載が充実しており、今後も参考にしていきたいです。「株式投資入門」と銘打っていいますが、なかなか高度な内容です。