インデックス投資では物足りない: バフェット流バリュー株投資を学ぶ3冊
インデックス投資で満足ですか?
サラリーマンの資産形成において、誰にでも勧められるのは株式インデックス積立投資だと思います。しかし、以下のように欠点もあります。
- 退屈である。
- 自分の投資経験が限定的となる。ファンドマネージャーが運用をきめるので。
- 大きなリターンを期待できない。通常、市場平均水準の値動きを目指す運用。
- 保有コストがかかる。現物株保有と異なり、保有期間は信託報酬がかかる。
「退屈である」という欠点は、投資に割く時間が最小限ですむという利点の裏返しです。時間がかからないから、本業があるサラリーマンにはインデックス積立投資はうってつけの方法なのです。
しかし、インデックス投資になれてくると、物足りなくなりませんか?
個別株を自分で選んで、失敗から学んで成長し、市場平均以上の大きなリターンを得たくなりませんか?
人生の後半、きっと時間を持て余すのではないですか。今から経験をつめば老後の大切な趣味にもなるのではないでしょうか?
そんな内なる誘惑の声に引かれて(罠にかかったという人もいる)、私の日本株投資は、いま全部個別株投資になっています(参考: アセットアロケーションで成果をあげつつ投資を楽しむ)。
個別株投資で市場平均を上回る成果をあげるのは容易ではありません。やるときめたら、しっかり投資手法を学びましょう。
バフェット流バリュー株投資の考え方を学ぶ

有名な投資手法には、例えば、(1)バフェット流(長期投資・バリュー投資)、(2)ピーター・リンチ流(長期投資・バリュー投資)、(3)オニール流(成長株投資)、(4)フィッシャー流(成長株投資)などがあります。今後は(5)AIを活用したものが発展していくかもしれません。
この記事では(1)バフェット流の投資手法を学べる書籍を3冊厳選して紹介します。
バフェット氏は、10代から株式投資を開始し、70年近くもコンスタントに成果を上げ続けて約10兆円近い資産を築いたアメリカの著明な投資家です。
彼の投資手法を簡単に言うと、他社に対する参入障壁を持つ会社の株を、超割安になった時に買い、長期保有するというものです。複利の効果を利用して大きく資産を成長させます。
仕事のために経営/事業戦略を学んだ方は「参入障壁」を、財務・ファイナンスを学んだ方には「割安」を理解しやすく、そういったサラリーマンの方には強みが生かせる手法といえるかもしれません。
また「複利の効果」の効果はすさまじいです。人生100年時代、仮に50歳になってもまだまだ「長期保有」は可能です。複利の魔法のような力を味方につけていきましょう。
1.「三位一体の経営」(中神康議)
みさき投資株式会社・社長である中神康議氏の著書「三位一体の経営」は、特にバフェット流投資法とうたった本ではないです。
しかし、本書で説明されている以下の考え方は、まさにバフェット流。参入障壁を持つ会社の株を長期保有し、複利の効果を利用して大きく資産を成長させるという部分に対応しており、この点の理解が深まります。
- 安定的に、大きく富を増やすメカニズムの根底には複利がある。投資利回りと再投資を高水準で長期間持続させる。
- 実現すべき「複利」の水準、つまり業界平均並み以上の利益水準を作り出し守りぬくには「障壁」が必要。
以下、私の書評記事です。

「三位一体の経営」(みさき投資・中神康議)を読む
みさき投資・中神社長の著作、「障壁」にもとづいた「複利の経営」。印象に残った部分などを紹介します。
2.「10倍株の思考法」(ろくすけ)
個人投資家ろくすけ氏の著書「10倍株の思考法 「ビジネスモデル×企業価値」で考える株式投資入門」の「はじめに」の部分には以下の記載があります。
- 企業価値とビジネスモデルを評価・分析し、素晴らしい企業をその価値に対して大幅に下回る価格で買う
- コミュニケーションを通して自らの「仮説」の構築とその「検証」を繰り返し、自信を持って保有し続けるための拠り所とする
ここで「ビジネスモデルの評価・分析」には堅固な参入障壁(堀)に守られているかという点がふくまれてます。まさにバフェット流(長期投資・バリュー投資)です。
本書は、割安に買うために、企業価値評価や目標株価の算出を丁寧に説明しています。より実践的です。
大企業のM&Aではよく用いられるDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)をベースにした目標株価の簡易計算法も紹介されています。この方法をエクセルとGoogleスプレッドシートに表現しました。ご興味ある方は以下の記事をご覧ください。

株主価値の簡易算定: ろくすけ氏法のエクセルファイル
ろくすけ氏の著書「10倍株の思考法」に基づく、株主価値の簡易算定のエクセルファイル/Googleスプレッドシートを提供
「バフェットからの手紙」(ローレンス・A・カニンガム)
バフェット氏が会長兼CEOを務める投資会社「バークシャー・ハサウェイ」では、株主に年次報告書として「バフェットからの手紙」を発表します。この手紙をまとめた本が「バフェットからの手紙 第5版」です。
バフェット氏に関する本は多数出版されていますが、バフェット氏自身の著書はありません。そんな中、本人が書いた手紙に基づく同書はバフェット本人の投資に対する考え方を学ぶという観点から外せないでしょう。しかし、難しい内容も多く、初心者がバフェット流の投資手法を学ぼうと思って手を出すような本ではないです。この点はご留意ください。
以上、バフェット流バリュー投資を学ぶための本を3冊厳選しました。
個別株投資を楽しみ、資産を増やしましょう。